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これは、もう事件です!
あの痴漢があってから、5日後…
また、綾は満員電車の中にいた。
毎朝の満員電車にウンザリしながら、周りに触れないように、神経を使って立っていた。
駅から乗ってくる人が多くて、綾は奥に押されて誰かとぶつかった。
そう、あの3人組のイケメンに…
「あっ!この間は、ありがとうございました。」と、綾が声をかけた。
「やっと、僕のお姫様に会えたよ。嬉しいなぁ。僕の彼女になること考えてくれた?」と、暁斗が言った。
綾は、モジモジしたまま、顔を赤らめて、何も言えずにいた。満員電車が揺れるたび、立っていられなくなるほど、綾の脚はグラグラになっていた。そんな綾を見かねて、暁斗は、そっと抱き寄せてくれた。
「こうしていれば、安心するでしょ?」
綾にとっては、いつも読んでる少女マンガの主人公にでもなったみたいなドキドキで、その心臓の音が、聞こえてしまうのかと思うくらいだった。
駅に着いてから、お互いにLINE交換をして、やっと、名前もわかるようになった。
そして、その日の夜に、また会おうと約束した。
暁斗は、佐藤財閥の御曹司で、アメリカ留学からひと月前に帰ってきたばかり。KI大学の3年生。水泳部の部長で、180cmの長身で王子様タイプ。優しいが自分の信念は、しっかり持っている。
就活などをしなくても、何も言われることなどないほど、成績も優秀で、全てが完璧な男なのだ。ただ、1つの弱点を除けば…
綾との約束の場所に早く着いた暁斗は、赤い薔薇の花束を抱えていた。
綾との初めてのデートが嬉しくて、落ち着かない感じだった。
仕事帰りの綾は、待ち合わせ場所に着くまで、1人でぶつぶつ言っていた。「今日のお客さんは、なんで人の顔見て笑うのよ!失礼じゃない。なんなの!」文句を言ってはいるが、暁斗に会える喜びから、顔がニヤけていたのだ。
「遅くなって、ごめんなさい。待たせてしまって…」下を向いて謝る綾に、薔薇の花束を渡して、暁斗は、「待っている間も、僕の可愛いお姫様のことを考えられて、嬉しかったよ。そんな時間を作ってくれてありがとう。」キラキラの笑顔で綾を見つめている。
これって、夢?じゃないよね?
綾は、自分の頬を思いっきりつねってみたら、結構痛くて、泣きそうになってた。
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