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天照大神
綾の様子が、さっきより悪くなっているのは、3人が強い想いで、動いてくれているからだ。いくつかの霊が綾の身体に憑依していて、悪さをしていたのだ。その霊達に引き寄せられるように、外からたくさんの霊が集まってきていた。
今までは、なかったはずの「レイライン」の中に、綾の家が入ってしまった。
「こんなことって、あり得ない。一晩でその中に入るなんて!」
死者の魂の通り道である「レイライン」
しかも、綾の陰陽師としての力も、死者の霊にとっては、頼りたいものなのだ。
涼は、パソコンでどのように流れているのかを、暁斗と斗真に教えた。まさしく、今、綾が寝ている頭の方向から、流れていたのだ。
たくさんの眼の中には、子供らしい眼もあった。子供の霊は、怨念というより、遊んでもらいたいという、無邪気な眼だった。
暁斗がお願いした、土地神さまと歴代陰陽師、そして、綾の亡くなっているご両親が、綾の周りに集まってくれた。うなされていた綾の呼吸が少しずつ回復していた。
「これで、みんな揃ったね。この霊達を成仏させよう。」
そう、斗真が言った時に、風が吹いた。
その風は、だんだん強くなり、渦を巻いて、3人に襲いかかる。悪霊達が、抵抗しているのだ。歴代陰陽師は、3人の前に立ちはだかり、渦の風に何やら札を投げた。
渦がだんだん小さくなっていくように、3人は思えた。陰陽師達と同じように、呪文を唱えた。神の光が、渦の悪霊達を成仏させた。
だか、もっとも強く悪霊は、綾の身体に憑依していた。さっきの光では、成仏してくれないのだ。綾の周りに、綾の両親と、土地神さまが、念仏を唱えている。しばらくすると、土地神さまが呼んだのか、「天照大神」が現れた。全ての神の頂点。「アマテラスオオミカミ」まばゆい光で、目がくらむほどだが、その光は、とても心地よかった。
悪霊達もこの心地よい光に誘われて、綾の身体から出てきてくれた。シャンシャンと、鈴の音が聞こえて、悪霊達が消えていくのが見えた。無事に終わったと、3人は疲れ果てて、綾のそばで眠りについた。
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