《第一章》音楽家の卵

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りんは、同じヴァイオリン科の夏希と康介と食堂で昼食をとっている。 「あ~疲れた~私たちこれから超過酷だよねぇ。あの人数と競わなきゃいけないんだよねぇ?あり得ないんですけど!」 「あれだけ!?じゃねーよ~あたりまえだろ?俺ら日本一の音大生だぜ?過酷に決まってら。」康介は夏希に一括してからりんの方を見た。 「なあ、りんって上手いの?」 「普通だよ。」 今までだらだらと椅子にもたれていた夏希が跳ね起きる。 「りん!なに謙遜しちゃってんの。あのね、この子はめっちゃくちゃ上手いんだよ!いっつも成績いっちばん!」 「なにお前酔っぱらってんのまじで~」 まるで夫婦漫才の様な二人を横目に、りんは配属試験までのスケジュールを確認した。配属試験は一人ずつ。課題曲と自由曲で合計たった10分。そのための練習期間は約半年…。 大きな挑戦だ。 意気込んでいたりんの横を風のように通った青年に、彼女は全く気付かなかった。
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