47人が本棚に入れています
本棚に追加
/144ページ
りんは、同じヴァイオリン科の夏希と康介と食堂で昼食をとっている。
「あ~疲れた~私たちこれから超過酷だよねぇ。あの人数と競わなきゃいけないんだよねぇ?あり得ないんですけど!」
「あれだけ!?じゃねーよ~あたりまえだろ?俺ら日本一の音大生だぜ?過酷に決まってら。」康介は夏希に一括してからりんの方を見た。
「なあ、りんって上手いの?」
「普通だよ。」
今までだらだらと椅子にもたれていた夏希が跳ね起きる。
「りん!なに謙遜しちゃってんの。あのね、この子はめっちゃくちゃ上手いんだよ!いっつも成績いっちばん!」
「なにお前酔っぱらってんのまじで~」
まるで夫婦漫才の様な二人を横目に、りんは配属試験までのスケジュールを確認した。配属試験は一人ずつ。課題曲と自由曲で合計たった10分。そのための練習期間は約半年…。
大きな挑戦だ。
意気込んでいたりんの横を風のように通った青年に、彼女は全く気付かなかった。
最初のコメントを投稿しよう!