《第一章》音楽家の卵

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ピロン スマートフォンのメール受信音が鳴る。 題名は「予約いただいた部屋について」だ。 そうだった!今日の授業後、16時から19時までの3時間、部屋を借りておいたのだ。 りんは授業が終わると一旦ロッカーに向かい、楽譜とペン、ヴァイオリンを持って予約室を訪れた。 予約室Aと書かれたその部屋には、真ん中にグランドピアノが置かれており、こんなところで贅沢にヴァイオリンを演奏していいものかと一瞬迷った。しかし予約できたのだ。大学的には問題あるまい。 りんはピアノの上に楽譜を置き、窓の方に体を向けて演奏を始めた。
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