新しい友達

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新しい友達

翌朝、りんが電車に乗ると、いつもの様に端から康介、夏希の順番で座っていた。通勤ラッシュを過ぎた電車はそれほど混んでおらず、3人がいつも座れる様になっている。りんが乗ったのを確認すると、夏希が手を振った。 「おはよう!今日小テストだね」 「勉強した?」 「おれしてねーわ」 他愛もない話をしていると、康介が何やらこそこそと夏希に話しているのが見えた。夏希が「自分で言えよ!」と肘で軽くたたく。それからりんの方に振り返って言った。 「ねぇりん。良かったら3人で課題曲練習しない?カラオケとったんだ、今日の夕方から。」 りんは一瞬考えた。 昨日、神村奏と練習した後のことだ。 ヴァイオリンをしまいながら、りんは出ていこうとする神村を見た。 「あの」 「ん?」神村はきょとんとしている。 「…いつもここでやるんですか?…あの、、練習」 「…うん、明日も同じ時間。暇だったら来ていいよ」 実は今日も神村のところに行こうかと迷っていたのだ。 「今日、ちょっと厳しいんだよね、ごめん」 康介はがっくりと項垂れた。しかし夏希を挟んでおり、りんからは見えていない。 夏希が笑いながら、慰める様に康介の肩を軽く叩いていたことを、りんは気付いていなかった。 そのまま沈黙で電車に揺られていたが、最初に口を開いたのはりんだった。 「ねえいつもいろんなことに誘ってくれるけどさ、今回は2人で練習しなよ。お邪魔したくないし」 「どういう意味?」夏希が目を丸くしてりんを見る。 「だって…、2人だけの世界観あるじゃん。私がお邪魔できない感じの。」 夏希はもう一度まん丸にした目でりんを見て、その後康介の方を見た。暫く揺られていたからか康介は目を閉じている。寝ているのだろう。その様子を見て夏希は少しだけ息を吐いた。
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