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混沌の世界
拝み屋、御上侑哉が茶木賢也を連れ高野山の裏本堂に向かったのは、式神事件の2日後だった。
広い本堂の木目の床に座って待つと、袈裟を着た、阿闍梨が、ゆっくりと入って来た。
「何しに来たのじゃ、侑哉。
それに……まだ、そのチンピラを連れておるのか」
阿闍梨は茶木を睨むと深いタメ息を吐く
「茶木は、俺の大事な助手だ。阿闍梨さまに、とやかく言われたくねぇな。
フッ。まあ、こんなクソ山奥に来たのは、呪殺屋の一件の礼だよ。ご隠居は元気だったかい」
御上が笑うと
「面倒な話を押し付けおって……。我らが、奴らを疎ましく感じておるのは知っておるだろうに」
「呪殺屋は、この国の必要悪だ。阿闍梨さまが、いくら騒いでも無くなりようがねぇぜ、それに、ご隠居は元々裏高野の人間、根は一緒だろ」
「バカな、妖魔を倒す我らと一緒にするな!まあいい。そんな礼をわざわざ言いに来たわけでもあるまい、本当の狙いはなんじゃ」
御上は顔を変え
「地蔵菩薩の御霊が消えた噂は本当かい」
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