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「そんなこと、そんなことって!」
「全然ヘンじゃないよ。むしろさっきは、なりふり構わず噴水に飛び込んじゃうようなところもあるんだなあって、ちょっと嬉しくなった」
嬉しく……だと?
「桜井さんは、ちょっと近寄り難い雰囲気だと思ってたから……あんな熱い一面も持ってるんだね」
いや、今はそんなことを話しているのではない。私の素っぴんを──
「こんなこと、こんな格好で言うべきじゃないとは思うけど……桜井さんなら許してくれるかな」
「……はあ?」
何を言う気だ、素っぴんへの苦情か?
水島さんはしきりに濡れた髪を手で撫で付けていたが、不意に背筋を正した。
「俺、桜井さんのこと、もっと知りたい」
私は素っぴんである事を一瞬忘れ、思わず顔を上げると、正面から水島さんを見つめてしまった……。
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