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くものす
私が生まれたとき
一匹のくもがやってきて
私を網にかけていった
現実はすぐそこにありそうなのに
糸が邪魔して陽炎のよう
大きな蝶々になればきっと
この糸はほどけるのに
大きくなった私の背中の羽根は
長い間糸とケンカしてボロボロ
仕方なく細い手足で
はい出そうとするけれど
糸より細いその手足は
糸より体に絡みつく
何頭も何頭も白い馬がやってきては
救い出そうとするけれど
たてがみを誇るその顔は
くもにしか見えない
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