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その3。 恐怖について
小学校のとき、最も怖かった場所が夜の学校である。
計算ドリルを学校に忘れたときに入った学校の、嫌な静けさ、普段なら気にならない緑の誘導灯、陰気なトイレ。これらを気にしないように、早足で廊下を渡った。というのは今になってみれば、夜の学校を体験したといういい思い出なのかもしれない。
さて、今日に立返ろう。部活に遅くなった人にとって、冬の季節。暗くなった学校は、あまり珍しい物では無くなった。そのせいか、日常的な夜の学校は、畏怖の対象では無くなりつつあるように思える。しかし、何かいるのではないか。という恐れが去来するのもまた事実。
この怖さは、一体どこから来るのだろうか。化け物による命の危機に、恐れを抱くわけではない。大きな音、光に、体が反応するわけではない。となれば、残るのは違和感であるのだろう。
人が、壁、家具が赤一色の部屋に入ったとき。感じるのは、恐怖だと思う。この恐怖は、見慣れない光景から来る違和感への奇妙さが、大きく影響していると思う。
同様に、普段多くの人で賑わい、音がある事が普通の空間が、音のない異常な空間になる。このことは、あるはずの無い音を脳内で作り上げるには十分すぎる条件である。静かな環境での「シーン」という擬音が、脳の作り上げた幻聴ということに似ている。
ピエロ恐怖症等の、恐怖症も一部これで説明できるのではないだろうか。ピエロに狂気をの情を抱くのは、見慣れない、表情がわからない、奇妙、違和感が関与している。映画等でのトラウマもあるので、あくまで、一部とは思う。
しかし、そう考えると、夜の学校も、暗い病院も、大した事はなく感じる。原因が分かってしまえば、恐怖など恐るるにたらぬ。
すべてが、違和感とは限らないが。
ほら、あなたの背中の女の子のように。
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