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賢者様はどこへ
『愛と優しさは屑箱へ
地位と名誉は懐へ
形のないものに価値なんてないと
賢者様はおっしゃいました
その目は誰よりも底深く
その手は誰よりも小綺麗で
その口は全てを貪り尽くし
自らの地位すら貪り尽くした賢者様は
その重さに溺れていることを自覚しておりませんでした』
…全くその通りだった
あの小説の賢者のように私は自らが犯した罪に気づけずにいたのだ
『見放し、見放され、賢者様はどこへ行くのでしょう?
流れ着くその果てで呪いと加護のまじないだけを賢者様は唱え続けていました
その姿はあまりにも滑稽でした
賢者であろう者が神に縋る姿など滑稽でしかありません
自分だけを信じて疑わない
自分しか信じられない
かわいそうな賢者様
哀れで惨めな賢者様
さぁ、賢者様
あなたの望みは?』
私は…
私が今望むことは…
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