プロローグ 安アパートの陰陽師

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 小鬼の骨ばった腕と格闘している与一をしり目に、恭は団子を一本取り出して食べ始める。 「ところで恭、お前、今日も外に出なかったんじゃないのか? 一体何があったんだ?」  唐突に問われ、恭は団子を喉に詰まらせそうになった。 「何だよ。お前には関係ないだろ?」 「なんでだよ。俺たち友達だろ? 困ってることがあるなら相談してくれよ」 「あのな、俺は放っておいてほしいから引きこもってるんだよ」 「そういうのが駄目なんだって! 話したら楽になるから! ほら!」  あーもう。やっぱりこいつには話が通じねえ! 恭は頭を抱えた。与一は本気の親切心でお節介を焼いてくるからタチが悪いのだ。正直ありがた迷惑もいいところだが、こいつの好意を無下にするのも心苦しい。  恭は観念して重い口を開いた。 「実は俺……バイトやめたんだ……」 「えーっ! マジで!?」  失礼なほど正直に驚く与一。しかし、恭に一睨みされると、「あ、わりい」と言って首をすくめた。 「でも、なんで? お前、接客なしのキッチンスタッフだっただろ? いくらヘタレのお前でも、今度こそは大丈夫だと思ったのに!」 「新しく入ってきた上司の性格が最悪だったんだよ」 「あー、なるほどね。そりゃきついな……」
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