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「誘うのがって事か?もちろん本気だが?」
「じゃあ行きます」
勢い任せで即答する私に水沢主任は声に出して笑った。その笑う主任を見て私はハッと我に返る。
「えっと、私…」
「駅前で待ってるから」
そう言って水沢主任は先に会社を出た。今の会話、聞かれてたらどうしよう。
私は周りをキョロキョロして確認するけど、すでに部署内には私しか居なくて安心する。
でも水沢主任は何で私を誘ってくれたのだろう。トクンと胸が高鳴り始める。
とにかく私は急いで駅前に向かった。
「じゃあ行くか」
私は呼吸を整えて水沢主任について行く。
「酒は飲めるか?」
「はい」
あまり話が弾まないまま黙々と歩く。どうしよう。アレを聞いてみていいかな。
「あの水沢主任」
「何だ?」
「今日は何で私を誘おうと思ったんですか?」
私の言葉を聞いて水沢主任は立ち止まった。そしてゆっくりと私の方を見る。
「七瀬が綺麗になったからだろ。着いたぞ」
気がつくと一軒の店の前に着いていた。
それに多分、質問するタイミングを間違えたかも。
頭の中で『七瀬が綺麗になったからだろ』ってリピートされて顔の火照りが止まらない。
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