全ては貴方の為に…

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全ては貴方の為に…

「七瀬、書類(これ)また間違ってるぞ」 縦長に丸めた書類で私の頭をコツンとしてくる。 新入社員として化粧品を取り扱うこの会社に入社した私『七瀬(ななせ) 美鈴(みすず)』は、本日も主任に呼び止められて怒られていた。 水沢(みずさわ) 智史(さとし)、クール系の顔立ちと雰囲気を持つ私の配属する商品企画課の主任だ。 初めて主任を見た時は、イケメン上司ってテンション上がったけど、そのテンションもすぐに下がる事になる。 「すみません。すぐにやり直します」 水沢主任の手から丸めた書類を奪い取り、私はデスクにあるパソコンで書類を作り直す。 この調子だと今日も残業確定だ。 正直、会社ってもっと楽しいものだと思っていた。 優しいイケメン上司に手取り足取り仕事を教えてもらい、定時に仕事が終わると一緒に食事したり飲みに行ったりして親睦を深め、そこから恋が始まってそのまま結婚…なんて夢を見ていた私が馬鹿だった。 現実は全然違う。 仕事→鬼上司に怒られる→残業→疲れて寝る…ただこれの繰り返しだ。
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