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「まぁ七瀬が仕事を頑張っているのはちゃんと分かっているから」
水沢主任は落ち込んでしまった私を慰めるかのようにポンポンと頭に手を乗せた。
説教好きの鬼上司かと思っていたけど、優しい面もあったんだ。
頭に乗せられた大きな手が何だか嬉しくて、私の頬は少し赤く染まった。
「あっそうだ。さっきの美容ドリンクと一緒に化粧水の試供品も貰ったんだ。これもやるから使ってみろよ」
水沢主任からうちの会社のロゴが入った紙袋を受け取る。
「まず自分を磨け。その体験から何か良い化粧品が生まれるかもしれないし、自分も綺麗になって一石二鳥だろ?」
そう言って水沢主任が笑いかけてくれた。
「今の私も綺麗ですけど?」
水沢主任の笑った顔にキュンとしてしまった私は、照れ隠しに冗談を言う。
「綺麗?少なくとも外見はまだまだだな」
そう言って水沢主任は顔を覗き込みながら至近距離に近づき、私のおでこにかかっている前髪をスッと持ち上げる。
「わっ、ちょっと待って」
私は慌てて手でおでこを隠す。最近、肌荒れが酷くておでこにニキビがポツポツと出来ているのだ。
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