全ては貴方の為に…

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「水沢主任は彼女いるんですか?」 「彼女がいたら遅くまで会社にいないだろ」 駅に向かって歩く途中、私は水沢主任に質問した。彼女はいないという返事に安堵する自分がいる。 私、どうしちゃったんだろう…何だか水沢主任の事が気になってしょうがない。 そしてあっという間に駅に着いた。私と水沢主任は乗る電車が違うみたいなのでここでお別れだ。 「ではまた明日」 名残惜しいけど、挨拶をして改札口に向かおうと水沢主任に背を向ける。 「七瀬」 水沢主任に呼ばれてクルッと振り向く。するとこっちに来いと言うように手招きをしている。 取り敢えずまた水沢主任の元へ戻ったその時… 私は主任に腕を掴まれてグィっと引き寄せられた。その反動で水沢主任の胸の中に飛び込んでしまう。 『ごめんなさい』と言いながら慌てて離れようとするけど、水沢主任が片腕でそのまま私が離れないように力を入れている。 「しゅ、主任!?」 よく分からないけど嬉しい。でもこのままだと胸のドキドキがバレちゃうよ。 「俺がビビるくらい綺麗になってみせろよ」 水沢主任は抱き締めている私の耳元でそっと囁く。そして私から離れた。 私は呆然としながら水沢主任を見つめていた。 「気をつけて帰れよ。あっそうそう、弁当と一緒に生野菜サラダも食べとけ。じゃあな」 意地悪そうな笑みをすると私に背を向けて帰っていった。
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