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ACT4
「お、美穂ちゃん弁当?」
彼は、同じ寮に入って部屋を見せていただいた、蒲池さん。
ビニル袋から菓子パンを出して隣で食べ始めた。パーテーションに向かって座る形にした、その向こう側は事務机が並んでいる。
やっと落ち着ける環境ができたと話した。
「三人だもんな、どうしてるの?」
高さの違う、ハイベッドを購入して上に二人、下に一人が寝るようにした。
ふんふんなんて聞いている。そして一部屋別に借りたことを話した。
「まじで、敷金と前金かよ」
「ひどいと思わない、やめるの当たり前だよ、二人ならまだしも、三人ってあり得ない、田舎もんだと思ってさ。」
そうだよなー。
というと、ごみを捨てようと丸めるも、じっと私のお弁当を見ている。
「食べます?」
いいの?
私の箸を取ると、そのままかきこんだ。
「慌てなくても」
「うまい、おいしいよ」
そう言ってくれるのはありがたかったけど、つくってくれって言われたらどうしよう、あ、お金もらえばいいのか。
「なあ」
きた。
パンと手を合わせた。
弁当代、やるから作って、いなくても夜食べるからお願い!
やっぱりな。
スマホで一斉ライン。
ふむ、ふむ。
弁当箱を用意しろと言い、三百円、弁当箱が大きければ四百円、食品の持ち込みはありがたいから仕送りしてもらったのとかあればくれといった。マジで、絶テー今日中に用意するだって。まあいいか。
部屋に帰るとテーブルの上に置かれた弁当箱、一つはスリムタイプ、もう一つは二段式、結構大きいぞ。そして私の出した大きなお弁当箱、学生かよ!
「え?華ちゃんとミヤちゃんも」
「うちの営業所の側店がないんだよね」
「うちもー、駅の側なのにさ、でっかいスーパーだけで、なんだか恥ずかしいんだよね」
「それでこれ」
「うん、四百円」
「私も」
「実は私も何だよね」
後だししたのは菜々ちゃん。六個プラス四個の弁当箱が並びました。
「仕出し屋でもやるか。」
お手数おかけしますがよろしくお願いします。
電気の量が決まっているからか、それ以上使うとブレーカーが落ちる、だからお隣さんに頼み、延長コードを引っ張らせてもらい、外の洗濯機置き場から電気を調達。
お弁当と朝ご飯だけで、五合、朝パンの人もいるから丁度なんだけどさ。
それでも二台の炊飯器が並んでいる。ひとつはミヤちゃんの実家から送られてきたもの。みんな実家からいろんなもの送ってくるんだよねー、ありがたいよねー。
ということで、食費はできるだけ浮かせ、この部屋の代金にすることが決定。みんないい子で感動した。
おかずは作る、詰めるのは各自でということになった。
さすがに女子、野菜物は必ずということで、任せなさい。
きんぴらや、お浸し。野菜中心でお弁当なるようなものを作りまくった。
最終日は今日、日曜、手探りだった一週間が終わる―。
ピンポーン。
お届け物?
何?と覗く三人。
「お魚って書いてあるよ」
家からだ。
オープン。
魚だけじゃない、ご当地食材がいろいろ。
「今週欲しかった」
よしよしなんて慰められる。
お昼はラーメンだと、大きな袋、生めんを持ち上げた。
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