4人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
────「っにしても、こんな奴らと組まされるとはね。マジで最悪だわ。えー…っと、そこの坊ちゃんが都民安全推進本部とかの都の職員だっけ?」
「あ、はい……」
「お前、さっきからそんな返事ばっかだな。他のバリエーションって持ってねぇの?……ん~、で?そっちの嬢ちゃんが玉川警察署の交番勤務の新人っつったか。ったく、急に招集されたかと思えばガキ共のお守りとはね。はっ、やってらんねぇ」
「……………………」
そうぶつくさと文句を言いながら前を歩くの男の名は仁科と云った。
その後を付いて行くのが、話し掛けられているんだか貶されていたんだか分からない瀬尾と東海林。
俯き加減に顔を伏せたまま、何か言いたそうな目線を交わし合っている。
今仁科が確認を取った通り、単調な返事を繰り返していた瀬尾は都の職員、そして東海林は新人の婦人警官であり、二人共に二十代前半と若い。
それに比べ仁科は、オールバックの髪のあちこちに白いものが混じっている五十代。
柄は悪いが背が低く痩せ気味。
背丈が180cm以上ある瀬尾や、警察学校時代に瀬尾よりもガタイの良い猛者達と過ごしてきた東海林にしてみれば目の前の中年男に何の迫力も感じられない。
が、それでも、仮にも仁科は年長者。
更に退役自衛隊員という肩書きも手伝って、二人はこの仁科という口が悪く癖の強い男に対しての接し方に戸惑っていた。
最初のコメントを投稿しよう!