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「いやぁ、先生。 雨…一向に止む気配が有りませんねぇ。やっぱり、こんな様子じゃ観光見物は無理ですよねぇ」 と、窓辺に立ったカレが外の景色を眺めながら溜息をついた。 カレが言う様に… 窓の外は、凄い勢いでザァッと雨が降りしきっていた。 「うぅん。そうだよなぁ」 と、声をかけられた先生もソファでカレと同様に溜息をつく。 「いや、全く」 今度は、同席しているお医者様もそう言うと、テーブルのお茶を一口啜った。 (ちなみに、このお医者様は先生の主治医である) 「うぅん…。私個人的には、雨の湖っていうのもなかなか雰囲気が有って素敵だなぁって思うんですけど…まあ、こんな大雨なら話は別ですよねぇ」 と、私の隣でソファに腰掛けている妹も口を開いた。 「確かに…」 と、私も窓の外をぼんやりと眺めながら呟く。 ここは… 先生が所有する、湖畔の別荘。 先生は、凄く高名な作家で、次々と素晴らしい作品を世に発表している私達の憧れのマトだ。 私とカレは、それぞれに『物を書く事』が大好きで、時間が有れば趣味で様々な作品を書いている。 (まあ、私はあくまでも趣味の域を出ないのだが、カレの作品は業界内でもそれなりの評価を得ている) ある時、 私達はひょんな事から普段から尊敬しているこの先生とお近付きになれたのだ。 そして、つい先日の事。 「どうだろう。 今度、私の別荘に泊まりがけで遊びに来ないか? 〇〇〇湖畔に建っていて、なかなか素晴らしい風景を堪能できるよ」 と、私達は先生から大変光栄なお誘いを受けたのだ。 確かに、〇〇〇湖は風光明媚な景色を堪能できる事で結構、有名である。 無論、私とカレは 一も二も無く先生のそのお誘いをお受けした。 私は「よし、それならば」と、やはり先生の作品の熱心な愛読者の妹も一緒に連れて、こうして先生の別荘にお邪魔させて頂いたという訳である。 そして、私とカレと妹の三人が別荘に到着したのと、ほぼ同時に… 物凄い勢いで大雨が降り始めたのだった。 この悪天候では、 楽しみにしていた観光見物も何も有った物ではない。 こうして私達は、止まない雨の中…別荘の居間でじっと過ごすしか無くなった。
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