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「侑一くんは、ずっと札幌?新卒で入った会社から変わってないの?」
「ああ。去年、ちょっと函館に行ってたけど……それ以外はずっと札幌だよ」
葉月は?と訊き返すと、「わたしは最初に入った会社、1年で辞めちゃったの。転職で東京に出て、2年前に札幌支社を希望して戻ってきたんだ」と2杯目の白ワインをあっという間に飲み干した。
「それにしても、侑一くん、全然変わらないね。ちょっと怖いくらい」
「そりゃそうでしょ。結婚間近の若い彼女とラブラブなんだから」
そう口を挟んできたのは翔平だった。ゼロ次会でも結構飲んでいたから──すでに顔が真っ赤だ。おまえ、相変わらず美人だな。葉月の顔をまじまじと見ながら、そんな軽口を叩いている。
「それはどうも。……侑一くん、結婚するの?ていうか、まだ独身だったんだ」
「ああ、まあ」
「若い彼女と?」
「なんと22歳」
次に口を挟んできたのは遼太だ。「しかも、すげえ可愛いんだよ。守ってあげたくなるタイプって感じで」──カクテルの入ったグラスを片手に、「な、侑一」と俺の肩を抱いてくる。
「やめろよ。おまえら、飲みすぎだって」
「守ってあげたくなるタイプ、ねえ。侑一くんが?」
葉月がプッと吹き出して、「ヘタレで優柔不断な侑一くんが」と呟いた。
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