8668人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら、こことかいいんじゃない?オートロックマンションの3階。駅から徒歩5分、スーパーまで車で3分」
洗い物を終えてソファーに腰を下ろした瞬間に、またしても背後から抱きすくめられてしまった。
「もう、侑一さんってば」と笑うと、「洗い物してる後ろ姿が可愛くて、早くこうしたかった」なんて言われて、頬にキスされる。
「あの、先にシャワー入っちゃいませんか?物件の話は、あとでも」
「そうだね。今日、暑かったしね」
そう言いながらも、腕の力を緩めてはくれない。侑一さん、と彼のほうを向くと、今度は唇を奪われた。
好きだよ、と囁かれて、啄ばむように何度もキスされる。こんなふうにされたら、わたしだって侑一さんに触りたくなっちゃう。──身体を反転させて思い切り抱きつくと、「紗友里、倦怠期なんじゃなかったの?」とくすくす笑われた。
「そんなわけないです。ほんとに、暑かったから……」
「でも、いまはこんなにくっついてる。いいの?」
返事の代わりに触れるだけのキスをして、すぐに離れようとしたら、「逃がさないよ」と囁かれて大きな手を後頭部に宛てられる。
「あの、侑一さん……」
「紗友里からキスされると、我慢できなくなるの……知ってるでしょ?」
ぎゅっと抱きしめられながら、音を立ててやわやわと唇を食まれる。キスはどんどん深くなっていって、その柔らかくて熱い感触が、わたしの頭の中をぼんやりと霞ませていく。
最初のコメントを投稿しよう!