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「ん、ゆういち、さん……っ、だめ、あとで……」
「うん。でも……紗友里がかわいいから、悪いんだよ」
背筋がぞくりと疼くような甘い声で言われて、身体の力が一気に抜けてしまう。
そんなわたしのようすを見通しているかのように、耳を軽く噛まれて、首筋に唇を押し当てられたら──もう、だめ。抵抗したって、絶対に勝てるわけがない。
「さっきのマンション、どう?やっぱり、駅から近いほうがいいよね」
そのまま優しく押し倒されて、わたしの頬や唇、額にまでキスを落としながら侑一さんが言う。
「はい。でも、他のところも……あっ」
「あとでちゃんと見ようね。楽しみだな、ふたりで住む部屋を選ぶの」
「もう、侑一さん……普通に話しながら、そんなところ触らないでください……っ」
だって、かわいいから止められないんだもん。目を細めながら掠れた声で囁く侑一さんは、すっかり「男の人」の顔になっていて──。
たくさん汗かいたのに、とか、シャワー浴びてないのに、とか、気になることはいろいろあるけれど……結局、いつも彼の望むままに翻弄されてしまう。
「倦怠期」なんて、きっと、一生来ない。だって──付き合い始めてからもうすぐ2年が経つのに、会うたびに好きな気持ちが募っていくんだから。
「……ここは明るいから、ベッド、行こうか?」
その問い掛けに小さく頷くと、彼が身体を起こしてわたしを抱き上げてくれた。
どうしよう。一緒に住み始めたら、こんなドキドキが毎日続くのかな。身も心も、すぐに持たなくなってしまうかもしれない。
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