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結局、わたしたちがみんなと合流できたのは18時を回ったころだった。
亜紀ちゃんが、「椎名くんとふたりきりにしちゃってごめんね」と何度もわたしに謝ってくれて、「亜紀ちゃん、謝るのはそこじゃないでしょ」と椎名さんに呆れられていた。
「だって、さゆちゃんって可愛いじゃん」
「そうだね」
「椎名くんとふたりきりにしたら、なにがあるかわかんないじゃん」
「やだなあ。俺って、そんなに危ないやつに見える?」
椎名さんに限って、と女の子たちが口々に言うそばで、「いや、わたしは本気なんだけど」と亜紀ちゃんが声を顰める。
「わたし、子どもってどうしても苦手なんだよね。さゆちゃんのこと置いてって、ほんとにごめん」「もう謝らなくていいよ。椎名さんにレモンサワー奢ってもらっちゃったし」「ふうん」──小さな声で話していると、いつの間にか椎名さんがすぐそこまで来ていた。
「亜紀ちゃん、悪いと思ってるなら俺にビール買ってきて。それで許してあげるから」
「えっ、歳上に奢るの?」
「歳は違えど同期でしょ。はい、紗友里ちゃんと一緒に行ってらっしゃい」
背中をポン、と軽く押されて、わたしと亜紀ちゃんは顔を見合わせる。仕方ないから、食べ物も買って来よっか。男子たち、花火の場所取りしてくれてるみたいだし。亜紀ちゃんの言葉に頷いていると、「これ、お小遣い」と椎名さんが五千円札を手渡してくれた。
「これで適当に買ってきてくれる?持てる分だけでいいから」
「うわ、椎名くん、太っ腹」
「歳上、ですから。ビールよろしくね、亜紀ちゃん」
椎名さんが微笑んで、亜紀ちゃんの頭をぐしゃぐしゃと撫でる。最悪、セクハラじゃん、イケメンだからってなんでも許されると思うなよ。その呟きにくすくす笑いながら、頭の中では別のことを考えていた。
──椎名さんって、本当に不思議な人だ。
いい人、悪い人。優しい、意地悪。あまりにも掴みどころがなくて、単純にカテゴライズできない。
やっぱり、侑一さんに似ているのは笑い皺だけだ。すごく失礼な言い方かもしれないけれど──あの微笑みの下では、いったいどんなことを考えているんだろう。
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