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宙に浮いたような心地のまま湯船に浸かって、バスルームを出て、身体を拭いてからバスタオルを巻きつけて──侑一さんが、わたしの髪に優しくドライヤーを当ててくれる。
「引っ越してから、一緒にお風呂に入ったのは初めてだね」
「……はい」
毎日使うバスルームで、あんなこと……。一瞬だけ目に入ってしまった自分のはしたない姿が脳裏に蘇って、恥ずかしさが込み上げてくる。
「紗友里、かわいかったなあ。だめ、って言いながら、本当はそんなことないんでしょ」
「もう、意地悪ばかりしないでください。わたし、すごく恥ずかしくて……」
「恥ずかしがって泣きそうになってる顔も、かわいいんだよね」
胸元で留めていたバスタオルをはらりと解かれ、こんなに明るいところですべてを暴かれそうになる。慌ててタオルを押さえると、「俺、もう我慢できないな。かわいくて、すべすべで、いい匂いがして……早くベッドに行こう?」と耳たぶを食まれた。
「でも、侑一さんの髪、まだ……」
振り向いた瞬間に唇を奪われて、熱く柔らかい舌がわたしの歯列をなぞっていく。それだけで下半身が疼いて、とろりとしたものが身体の中から溢れ出した。
──侑一さんとこういうことをしていると、自分が自分じゃないみたい。きっと、目を塞いでしまいたいくらいに厭らしくて淫らな姿を彼に晒している。見ないで、って思うのに、こうしてじっと見つめられたら、全身がもっと熱くなって……。
「そんなに色っぽい目で見られたら、余計に止まらなくなりそう」
いい?と太腿を撫でられて、小さく頷いた。またこんなに濡らして、早く欲しいの?そっと指を埋められると、悦んでいるかのようにそこがひくひくと蠢く。
「欲しい……です」
「……紗友里、」
「あんまり、意地悪なこと、訊かないでください……っ」
しっとりと汗ばんだ身体に抱きつくと、ほのかにボディソープの匂いがした。それすらもわたしの扇情を掻き立てていくようで、我慢できないのはどっちなんだろう、そんな疑問が頭の中を掠める。
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