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「マジかよ。突然すぎねえか?」
「もう2年近く付き合ってて……来月から同棲することになってるんだ」
「同い年?出会いは職場か?まさか、俺らの知ってる子じゃねえだろうな」
「いや、だいぶ歳下だから」
「だいぶって、いくつだよ」
「22歳。今年で23」
「嘘だろ!」
そう叫んだのは翔平だった。「くそ、ダークホースだ」とわけのわからないことを言いながら、ジョッキに残ったぬるそうなビールを飲み干す。
「随分若い子捕まえたな。だからおまえ、歳取ってないのか」
「それ、関係あるのかな」
「写真ねえのかよ。どんな子なのか見せろよ」
え、と渋るような表情を見せると、「いいだろ。減るもんじゃないし」と遼太がニヤリと笑う。
可愛いから見せたくないんだけど、と呟いてから、去年の函館旅行で撮った写真を画面上に出した。大の男3人が身を乗り出してスマホを覗き込んでいる様は、周りから見たらかなり滑稽だと思う。
「うわ、マジで可愛いじゃん。素直に羨ましいわ」
「この子が侑一の嫁さんか。結婚式呼べよ、楽しみにしてるから」
翔平と大樹がうんうん、と頷いている横で、遼太が「確かに可愛いな。それに、侑一と雰囲気が似てる」と目を細めた。そして──。
「でも、葉月とは真逆のタイプだな」
ぽつりと投げられたその名前に、ああ、そういえば──と遠い大学時代を思い返す。
葉月は、今日の同窓会に来るんだろうか。大学を卒業してから会っていないし、連絡先も知らないけれど。
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