声の魔法

1/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「ああ、やっぱりね。そんな気がしてたんだ」 レポートに追われて夜更かししてたし、夜食に油っこい物ばっかり食べてるし、当然の結果だ。 鏡に映る自分の顔には、昨日までは無かったニキビが出現していた。 想い、想われ、ふり、ふられ。 ニキビ占いなんて信じてないくせに、ニキビができるとつい確認しちゃうんだよね。 できたのは想われニキビ。 けれどおでこにもすでにニキビができていた。 想い想われてるなんて…まさか両想い?! なんて浮かれたりはしない。 だって想ってる人がそもそもいないし、私の事を想ってる人だっている訳ないじゃん。 「まぁ、マスクすればいいか」 鏡に映る自分と会話をするなんて、本当寂しい生活してるよね、自分。 マスクしてわざわざ隠さなくても、どうせ誰も私の顔なんて見てないけど。 目にかかるぐらいの重たい前髪に、目の下ギリギリまでマスクを上げる。 こんな女、視界にすら入れたくないよね。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!