声の魔法

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「最近、キレイになった?」 後ろから聞こえてきたその声は、もちろん私に向けられたものでは無かった。 それは好きな人に振り向いてもらえるように努力してる女の子へ向けられた言葉。 大学生だもん。恋愛ぐらいするよね。 私は私の物語ですら主人公ではなく脇役のようなものだ。 ましてや誰かの物語のヒロインになんてなれるはずがない。 恋をしたらキレイになるなんて言うけれど、私なんかが恋をしていいの? 私に恋されて嬉しい人なんているもんか。 そんな卑屈な考えしかできない。 好きな人がいないなら、私の事を好きだと言う人が現れる私になればいい。 自信を持って恋をする私になる為の努力をすればいい。 そう、頭ではわかってる。 でもその次に頭に浮かぶのは、私なんかがキレイになる努力をしたって無駄って事。 まぁ、別に本当の恋人なんていらないし…
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