声の魔法

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「最近、キレイになったね」 頭の上から聞こえてきた言葉。 顔を上げ両隣を見るが、近くには誰もいない。 目の前にいたのは高校の同級生。 高校時代も、大学に入学してからも、言葉を交わしたのは数える程だ。 ヒエラルキーのトップにいる可愛い女の子。 住む世界が違う人。ずっとそう思ってた。 「えっと…私?」 「うん、そうだよ」 「本当?」 「見違えちゃったよ〜。あんまり話した事ないよね?スキンケアとか教えてよ!」 努力は無駄じゃなかった。 そしてその努力は、とても楽しく幸せなものだった。 私なんかが…じゃない。私でも!だ。 隠す事しかできなかったニキビともキレイさっぱりさようなら! ついでに心にこびりついてた卑屈な私もあっちいけー! もちもち潤ったお肌に上がった口角。 私今笑ってるよね? 『キレイになったね』 その言葉が相応しい女の子に少しは近づけたかな? ありがとう。声の恋人さん。
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