4 月夜の二人

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「おいおい。旅は終わってないぞ。俺を国に返してくれ」 「……そうだな」 旅を終わらせたいシリウスの声に、ニコは寂しい顔をしたが、これはすぐに変わった。 「静かに」 「なんだ」 「……お前には聞こえないのか?これは」 シャーーーーという低周波は、二人に迫っていた。 「おい、ニコ」 「シリウス。起きろ……後方……ゆっくり。振り向いてくれ」 彼が向いた火の向こう。蛇が舌を出していた。蛇と同等のニコは剣を構えていた。 「ニコ」 「し!我は緑の国の戦士、ニコ……そなたに何もせぬ」 蛇はシャーーーと威嚇していた。しかし彼女は睨んだままだった。 「いい子だ……。そう、大人しく」 ニコはゆっくりと横に移動した。その時、シリウスが動いたので、驚いた蛇がニコに首を伸ばしてきた。これをニコは剣でざば!と斬った。逆手での早技にシリウスは目を見開いていた。 「おお」 「まだだ!後ろ!」 シリウスの足に登ってきた他の蛇を、ニコはバサバサと斬っていた。返り血を浴びた彼女は、火の向こうに黒い影を見つけた。 「前だ!蝙蝠!」 「う。前が見えない!」 吸血蝙蝠は彼の傷の匂いを嗅ぎつけて集まってきていた。これに囲まれてしまったシリウスは全身を覆われていた。これを見たニコは彼に叫んだ。 「シリウス!耳を塞げ!行くぞ」 「……ああ」 彼女は大きく息を吸った。そして声を放った。 …………
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