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拳を作り立つ彼女の声は美しく恐ろしい高音だった。これに失神した蝙蝠はバサバサと倒れていった。それでも彼女は高音を発していた。
やがて落ちた蝙蝠を剣でとどめを刺したニコは、耳を塞いでいるシリウスの足に抱きついた。
「あ?終わったのか。お前は大丈夫か」
「うん」
優しく彼女を掴み顔まで連れてきたシリウスは、笑顔のニコに微笑んだ。
こうして朝を迎えた頃。この地にマイルが鳥に乗ってやってきた。こうして二人は救出されたのだった。
その後合流した旅の一家は、熊や狼などに襲われたが、それぞれの活躍とニコの高音攻撃によりとうとう青の国に到着した。
「うわ。あれが海」
「そうだ。あの水は甘いんだぞ」
「シリウス。嘘を教えるな」
こうして仲良くなった彼らは青の国で丁重に扱われた。確かに男だらけで女の姿は少なかった。そして不思議な事に巨人の数も少なかった。
……もっとたくさんいると思ったのに。巨人は少数派なんだな。
「どうかしたか?」
「いや別に」
指定席のシリウスの肩にいたニコは、ここで降り、王宮にやってきた。
マイルと三姉妹を引き連れたニコは、青の王様に歓迎された。
「ようこそ。美しい、女剣士よ」
「恐れ入ります。緑の女王は友好の証として、この三姉妹を遣わしました」
三姉妹が頭を下げると国王は書状を読み、嬉しそうにうなづいた。
続く
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