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5 青の国
「そのように硬くならずとも良い。こちらでその娘達の暮らしは保証するので安堵いたせ」
「はい」
旅の疲れが見える三姉妹を休ませる事になり、これにマイルが付き添った。そしてニコはこの国の実情を国王から聞かされた。
それは女子の不足による人口減少の話であったが、今この国では女が宝であるという事だった。
ニコが暮らす緑の国では男がおらず女が力仕事など重労働をしていることを知る彼女は、女が大切にされる交換結婚は悪く無い印象を受けた。
しかし。緑の国が女だらけである事を知られるのは危険であるので、踏み込まずに話を聞きこの場を終えた。
「ふう。三姉妹の様子は?」
「今はお風呂に入り、明日は歓迎会とのことです」
「よほど女が不足しておるのだな」
そんな緑の国のニコ達に気を使い、身の回りは女官がしてくれていた。ニコは老齢の女官に話しかけていた。
「そなたに聞きたい。巨人は少ないのだな」
「ああ。でもその時によりますので」
「?その時?」
「あ!失礼しました……」
慌てた女官に首をひねるニコであったが、翌日には緑の国を歓迎する晩餐会が催された。
「私がこれを着るのか?」
「お似合いですよ」
「……剣を持たないのは不安だ」
出された白いドレスにふてくされるニコをやはりドレス姿のマイルは微笑んだ。二人は会場に顔を出した。
「シリウス達は来ないのだな」
「ここには来ないみたいですね」
「おお!あなたが緑の国の使者ですか」
豪華な王宮には王子が現れた。二人は彼にお辞儀をした。
「お会いしたかった。私はずっと話を聞きたかったのです」
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