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──その翌日──
「ねぇ、空くん。空雅って知ってる?」
『?なにそれ。誰かの名前?』
甘味屋に来た、吉田稔麿に突然そう聞かれた。驚いたが、なんとか顔にでなかったようだ。僕は、知らないふりをしてみた。
ちなみに、あの騒動の後で新選組が帰った後に来たお客さんだ。あまり深く聞いてこないので個人的には、嫌いじゃない、今は友として接している。
「………知らないよね」
『そんなことを聞いて来たってことは、僕が知ってるとでも思ったの?』
「空くん以外といろいろ知ってるじゃん。だから情報持ってないかなって」
『…………………じゃあ、その情報屋に接触したかもしれない浪士。教えようか?』
「やっぱり持ってるじゃん!」
『だって僕の情報は大体は、その人から手紙でくるんだもん。内容はそのときによってバラバラだけど。』
「知り合いなの?」
『いや?僕がここで働くようになってから恋文のように来るようになった。返事は返せないけど。何でも、僕の顔が好みらしくて、会うのはおそれ多いけど僕の役に立ちたいらしいよ?』
「……………すごいね。空くん。でもばれたらめんどくさいよ。それ」
例えば、人質とか
そう言って心配してくれる稔麿。しかし、
『大丈夫。試しに1回だけ、文机にそういくことを書いたものをおいてみたら、こんな返事が来た。』
そういって僕は返事が書かれた紙を見せた。
そこには、
(いざというときは、自分の命が一番なので大丈夫です。心配してくれて嬉しい。けどこれからは、あまりこんなことをしないでね?あっあと、もし友達に頼まれて君が知りたいのなら文机においといて。勝手に取ります。あなたの恋文。)
要約するとこんな感じに書かれていた。
「………いろんな意味ですごいね。空くん。」
それを見た稔麿は、複雑な顔をした。多分、僕もそんな顔をしていると思う。といっても、演技だけど。
ちょっと申し訳ないけど、まだばれたくない。後がめんどくさいし。
その後は、もしなんかまた情報があったら教えてと行ってお金を払い、稔麿は帰っていった。
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