ベリーベリーブラックベリー

28/36
前へ
/36ページ
次へ
  「……具合わるいの?」真理恵ははっと原田を見る。 「はぁ」と答えるのも大儀なのか、麦茶も口にしないで、あえいでいる。 顔は青白い。 「冷凍庫にガリンコくんのアイスあったでしょ。食べれば?」真理恵の言葉にはいつにない優しさがあった。 「いや、ぼくは、断アイスしているんで」と、言い切ると原田は机に突っ伏している。  真理恵は、どうもこいつ熱中症らしいと判断した。 「寝なさいよ。冷却シートをおでこに張るのよ!」 「はあ、そうします」ともそもそと動き片隅にあったソファに横になった。真理恵は冷蔵庫から冷却シートを出すと原田の額にのせ、 「体温計もってこようか?」と聞いた。 「そうすねえ」と呼吸も荒い原田は、ぐったりだ。  目もつぶっている。 「もう、ひ弱すぎるよ!」  真理恵は言いながらも、棚に置かれた救急箱をがそごそして体温計を出すと、原田に差し出した。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加