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「……具合わるいの?」真理恵ははっと原田を見る。
「はぁ」と答えるのも大儀なのか、麦茶も口にしないで、あえいでいる。
顔は青白い。
「冷凍庫にガリンコくんのアイスあったでしょ。食べれば?」真理恵の言葉にはいつにない優しさがあった。
「いや、ぼくは、断アイスしているんで」と、言い切ると原田は机に突っ伏している。
真理恵は、どうもこいつ熱中症らしいと判断した。
「寝なさいよ。冷却シートをおでこに張るのよ!」
「はあ、そうします」ともそもそと動き片隅にあったソファに横になった。真理恵は冷蔵庫から冷却シートを出すと原田の額にのせ、
「体温計もってこようか?」と聞いた。
「そうすねえ」と呼吸も荒い原田は、ぐったりだ。
目もつぶっている。
「もう、ひ弱すぎるよ!」
真理恵は言いながらも、棚に置かれた救急箱をがそごそして体温計を出すと、原田に差し出した。
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