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冬は山間部は豪雪になることもあるN県は、外食ならばやっぱりラーメン、がお決まり文句だ。それも、寒い地方なことからスープが冷めるのを防ぐために、わざわざ鳥の脂を表面に浮かす独特のスープである。
もちろんカロリーは高い。しかしあのこってり感はやめられないという意見が大多数なのだ。
その結果原田はデブだった。自称ちょいデブ。
さらにここで暴露するとすれば
ラーメン大好き、スイーツ大好き、駄菓子大好きの原田は、36歳だが、独身である。彼女いない歴13年である。
13年前のロマンスにしても本人側からの認識であり、相手の女性からすれば、しゃぼん玉レベルのものだとしても、まあ、それはよしとしよう。
その原田は、食べ散らかした皿を目の前にして考える。
いまや煮えたぎるような、食への熱い気持ちは冷めつつあったからだ。
「なんで、こんなにも衝動的に回転すしにきたのか」
原田の思いは時間軸を迷走した。
そしてある事項に焦点があった。
それは2週間とすこし前のことだった。
その日、職場の先輩である金子賢人が、「一緒にいかない? おごるよ」と原田を回転すしに誘ってくれたのだ。
原田は嬉々としてついていった。巻物がおいしいすしジローだったことも、その理由だ。賢人はケチではない。
それに、いくら原田が爆食いしている野獣の姿をみせても、泰然としている男だということは周知の事実だった。
もう一人のメンバーに気を付けるべきだったのだろう。
ハイスピードで食べていた原田は、8皿目を食べた時に違和感にやっと気づいた。
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