変身する彼と私

変身

「俺！ダイエット成功させます！」

「徹、それは個人的なやつだから仕事的なやつを言え、仕事的なやつを」

「無理はやめとけ〜」

「「あはははは！」」

　4月の初め、部署移動した私の歓迎会の流れで起こった今年度の個人目標の発表。

10人ぐらいしかいない部署の中で先程先陣切って宣言して部長にツッコミをいれられたのが私より少し年下の徹くん。

「先輩！今回はやり切りますよ！」
あの後席に戻った徹くんの所からこんな声が聞こえた。

私を残して他の人の発表が終わった。

「あとは白井さんの挨拶でシメましょうか。
知らない人はいないと思いますが自己紹介を兼ねてお願いします」

「白井奈美です。早く仕事覚えて頑張りますのでよろしくお願いします」

その日は私の挨拶で終了した。

あれから徹くんは休憩中のお菓子をやめたり、ネットでダイエットの記事を調べたるようになった。
席が目の前なのでついつい見ちゃう。

でも仕事中はやめといた方がいいかなぁ〜...,..
ほら、先輩に怒られた。

あれから2か月徹くんは努力が周りから見えるぐらい変身した。
体がシュッと引き締まってのか今まで来てたシャツがブカブカになっている。
でも気になっている事がある、それはずっとマスクしてる事なんでだろう？

「白井さん、俺持ちますよ」

ある時私が荷物を運んでいたら徹くんが声を掛けてくれた

「ごめんね、ありがとうじゃあちょっと遠いけど書類保管室までお願いしていい？」

荷物を持ってるときの腕まくりしている時の感じ、引き締まっててなんかいいなって思っちゃった。

書類保管室に着いた時にちょっとマスクをずらした徹くんの顔を見たら肌荒れしてるのが見えちゃった、凄い汗かいてダイエットしてるんだろうな。

「徹くんありがとう。いつか必ずお礼するから」

「いえいえこれもダイエットの一環っす、白井さんも気にしなくっていいですよ。またいつでも俺使って下さい」

「じゃあまたお願いしちゃうかも」

「どんとこいっす！」

「ははは」
「ふふふ」

家に帰って今日の事を思い出す。
徹くん頑張ってるのは知ってたけど痩せてた、こんな短期間ですごい事だよ。
でも肌すごい荒れてた...。

そういえばこの前友達に効果が凄いって教えてもらったコスメ確か男女問わずだったはずそれを教えてあげようかな？でも本当に効くのかな？

そうだ！私も肌荒れちょっとしてるし試してみよっと、それで効果があったら徹くんにオススメしよっと。

1か月ぐらい経ったある日私は徹くんと会社で残業をしていた。

「白井さん少し休憩しますか？」

「そうだね。じゃあ私奢ってあげるよ自販機だけど」

「あざっす！」

2人で会社の休憩所にいると。

「最近、キレイになった？」

「えっ？」
徹くんの言葉に思わず聞き返す。ちょっとドキドキしてしまった。

「あっいや肌っす、肌が凄いキレイになっていて思わず」

「そうかな？」
そんなにキレイになっているかな自分の事だからあんまり実感がない。でもこれってあのコスメの効果が出てるってことだよね。肌の事だけど徹くんにキレイって言われて凄い嬉しい。

「本当にキレイになってますよ。俺この前の歓迎会の時の写真持ってますけど全然違うじゃないですか。俺ダイエットしてから肌荒れ酷くて大変なんすよ」
そう言ってスマホの画像で私の写真を見せてくれる徹くん。

その時の写真と今を見比べてみると確かに違う。
それに.....。

「本当だ全然違う。でも徹くんなんでダイエットしようとしたの、あと....私の写真なんてなんで持ってるの」

胸がドキドキしたまま聞いてみた。

すると徹くんが答えてくれた。
「あんまり言いたくないっすけど、自分の部署に好きな人が来たら張り切って良い所見せようとするのが男って奴っす」
顔を見ると真っ赤だ。

えっ！？それって.....