1.同期が居候することになりました。

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「お願い、在原さん。今日、泊めて」 聞こえてきた仲林くんの言葉が、一瞬空耳かと思った。 「え?今、何か言った?」 「だから、もし彼氏いないなら、今日在原さんちに泊めて欲しくて」 だけどどうやら、聞こえてきた言葉は空耳ではなかったらしい。 「ごめん。ちょっと意味がわからない。仲林くんちって、このマンションの6階なんだよね?」 「…………」 確かめるように尋ねると、仲林くんが無言で視線を横にずらした。 「え?何、その反応。会社の寮扱いで、ここのマンションに住んでるじゃないの?数えるほどだけど、朝にエレベーターが一緒になったこともあったよね?」 「いや、まぁ。そうなんだけど……事情があって帰れなくなっちゃって」 「事情って何?まさか、エントランスキーだけじゃなくて部屋の鍵も見当たらないとか?」 「うん、まぁ。なんというか……」 「そういう事情なら、1日くらいネカフェ行けばいいじゃん。隣駅にあるでしょ」 「うん、まぁ。もしかしたら明日には考えが変わってる可能性もあるけど、1日だけじゃ済まないかもだし……」 モゴモゴと訳のわからないことを言う仲林くんに、少しずつ苛立ちが募る。
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