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「ごめん。事情はよくわからないけど、同期とはいえ親しくない人は泊められない。悪いけど、他を当たるか別の方法を考えてよ」
仲林くんに握られた手を、冷たい言葉とともに振り払う。
だけど彼は、はっきりと事情を言わないくせに、私への交渉を全く諦めようとはしなかった。
胸の前でパンっと両手を合わせて、頭を低く下げながら必死に懇願してくる。
「お願い。今日だけだから」
「だから、嫌だってば」
「そこをなんとか!」
「そこまで頼むなら、家に入れない理由をちゃんと教えてよ」
私がそう言うと、仲林くんが両手を合わせたままちらっと視線をあげた。
上目遣いに私を見ながら躊躇いの表情を浮かべる仲林くんの姿はなんとなく母性本能を擽るようなところがあって。つい庇護役が掻きたてられそうになる。
でも、それで受け入れたら仲林くんの思う壺だ。
気を許すまじと、きっと睨みつけたら、仲林くんがしょんぼりと目を伏せた。
「実は、一緒に住んでた彼女に『別れたい』って追い出されちゃって」
仲林くんの言い方に、頭にふと疑問符が浮かんだ。
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