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「ちょっと待って。いろいろ疑問があるんだけど、追い出されたって何?」
「ここに部屋借りてるのは彼女だから」
「え?ここは仲林くんが会社に借り上げてもらって住んでるんじゃないの?仲林くんの彼女が、偶然ここのマンションの部屋を借りて住んでたの?」
会社が借り上げているのはここのマンションの一部の部屋のみで、大半は不動産で個人契約した人たちが住んでいる。
だから、うちの会社とは無関係な仲林くんの彼女がたまたまこのマンションに部屋を借りてたとしても、それはあり得ない話ではない。
混乱しながら尋ねたら、仲林くんがあっさりと首を横に振った。
「違うよ。彼女は同じ会社の子。その子が会社の寮扱いで住んでる部屋に、2年くらい前から転がり込んじゃってて……」
「いや。転がり込んじゃって、じゃないよね?」
恥ずかしそうに白状する仲林くんに呆れて、つい大きな声が出る。
そのとき、エレベーターの隣の家の玄関のドアが唐突に開いた。
それに気付いてヤバイと思ったときには、その家の住人であるおばさんがドアの前に出てきてしまっていた。
仁王立ちでこっちを睨む、おばさんの無言の圧力が怖い。
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