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「開けたとしても、絶対あげない」
「え、ケチ」
「てか、話逸らさないでよ」
恨めしげにじとっと私を見てくる仲林くんを睨み返して、ポテチは後ろに隠す。
「話の続き。学生時代から住んでた家があったなら、そこに戻ればいいじゃない。もしくは実家に帰るとか」
「実家は、つい最近上の姉ちゃんが離婚して、子連れで出戻ってきたとこだから。今戻ると絶対嫌がられそうだしムリ。学生時代に住んでたとこは、美玲のとこに行くときに引き払っちゃった」
仲林くんがあっさりとそう言って笑う。
「引き払っちゃった、って……こんなふうに、別れちゃう展開とか考えなかったの?」
「だって、住まないなら家賃もったいないし。それに、これから一緒に住もうっていうときに別れなんて想定すると思う?」
「うーん。まぁ、確かに」
「俺だって、一応は将来とか。そういうことも考えてなかったわけじゃないし……」
それまで能天気そうに私のポテチを狙っていた仲林くんが、なんだかトーンダウンし始めた。
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