1.同期が居候することになりました。

21/31
前へ
/240ページ
次へ
「でも、在原さんはなんとなく口が堅い気がする」 しばらく考えこむような表情を見せたのちに、仲林くんがそうつぶやく。 「わかんないよ。明日、いろんな人に仲林くんと永田さんのことペラペラ喋るかも」 「いや。在原さんはきっと、口が堅い」 仲林くんから謎の信頼を寄せられた私は、困惑して眉根を寄せた。 「褒めても持ち上げても、泊めないよ?」 「そんなこと言わないでよ。同期のよしみじゃん」 「嫌だよ」 「お願い!掃除、洗濯、料理、なんでもするから!」 「間に合ってます」 どんなにはっきりと断っても、仲林くんは全く諦めない。 最後には膝をついてまでお願いされて、私もいい加減断ることに疲れてきた。 「わかった。じゃぁ、3日だけね」 仲林くんのあまりのしつこさに、仕方なく折れる。 私としてはこれ以上ないくらいの慈悲の心でそう言ったのに、仲林くんは不満げだった。
/240ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1558人が本棚に入れています
本棚に追加