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「いや、さすがに3日で家を探すのは無理だって。せめて3ヶ月くらい……」
「長すぎるよ。選り好みしなけりゃ、1週間もあればどこか見つかるでしょ」
「人ん家だからって、適当だろ。2ヶ月半は居させてよ」
「ムリ」
「じゃぁ、せめて2ヶ月」
ジリジリと期間を短くしながらも、月単位の滞在を交渉しようとしてくる仲林くんをじとっと睨む。
「だから、ムリだって。ここ、確かにひとりで住むには広めの部屋だと思うよ。この広さを寮として提供してくれてるうちの会社はだいぶ太っ腹だよ。でも、1DKだからね?」
「うん、知ってる。でも、あそこにまだまだ余裕あるから、布団敷いて寝れるよね?」
仲林くんがそう言って、寝室のベッド下スペースを指差す。
今私たちが顔を突き合わせているダイニングキッチンスペースと、寝室として使っている部屋に一応の仕切りはある。
ベッド下のスペースにだって、布団を敷けないわけではない。
でも、どう考えてもお互いのプライバシーは守れない。
付き合ってるわけでもなければ仲が良いわけでもない男女で同居できるような間取りじゃないのだ。
私は仲林くんが指差したベッド下のスペースをしばらく無言で見つめたのちに、彼に冷たい視線を向けた。
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