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「それで、その人にいろいろ誤解させちゃったっていうのは?」
「あぁ、それは……アメリカに行く前に付き合っていた元彼女が、最近急に『ヨリを戻したい』って連絡してきて。ずっとメールで断ってたんだけど、『会って話すまで納得しない』って結構しつこくて。今の彼女に何も言わずに、一度だけ会ったんだ」
一度だけ。私とイオは、たまたまその『一度』を目撃してしまったということか。
「今の彼女に心配かけたくなくて黙って行ったんだけど、メールの履歴でバレちゃって。結果的に、誤解させて傷付けた」
淋しそうに少し視線を落とす滝宮さんの言葉に、嘘はないように思える。
「その人のこと、本当に好きなんですね」
「そう、だね。せっかくつかめた手を、離したくないとは思ってる」
「じゃぁ、今すぐここを出て彼女のところに行かなきゃですね」
永田さんのことを思い浮かべながら笑いかけたら、腕時計に一度視線を落とした滝宮さんが、立ち上がった。
「ありがとう。悪いけど、お先に失礼するね」
イオのことでの打算抜きで、滝宮さんと永田さんとうまくいけばいいな、と思いながら、去っていく彼の背中を見送った。
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