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『メェちゃん、約束覚えてる?早く帰っておいでよ』
時刻はもうすぐ22時を回るところ。
イオからのメッセージに、胸の奥がキュンとなる。
「ごめん、松野くん。私も今日はもう抜けてもいいかな」
鞄を持って勢いよく立ち上がった私を見て、松野くんが少し驚いたように目を見開く。
けれど、松野くんはすぐに私のことを慮るように優しく微笑んだ。
「うん、気を付けて。また時間あるときに、みんなでゆっくり飲もう」
「うん、お疲れさま」
松野くんの、社交辞令みたいな次の誘いにほとんど胸はときめかなかったし、『みんなで』という彼の優しい気遣いに、以前ほどがっかりもしなかった。
それよりも今すぐに、イオに会いたかった。
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