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「メェちゃん、ちょびっとだけ汗くさい」
せっかくいい雰囲気だと思ったのに。イオの、鈍感失礼発言にムッとする。
「ひどい。駅から走って帰ってきたのに!」
「走ったの?」
ぽかっとイオの胸を叩いて顔を上げたら、イオが私を見下ろしてにこりと笑った。
「そうだよ。イオが早く帰って来いって言うから」
「俺のメッセージ見て、急いでくれた?」
「そうだよ!だって、早く会いたかったし」
歯がみしながら、半ばやけくそ気味に白状する。
それを聞いて一瞬ぽかんとしたイオだったけど、すぐに嬉しそうにぱっと破顔した。
「メェちゃん。それ、めっちゃ嬉しい」
イオがもう一度私をぎゅっと抱きしめる。
「あー、もう。汗くさいんでしょ。離していいよ、お風呂入ってくるから!」
イオの腕の中で、恥ずかしくてジタバタしてみたけれど。
イオは私の耳元で楽しげに笑うだけで、抱きしめた腕をしばらく解いてくれなかった。
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