1553人が本棚に入れています
本棚に追加
目を閉じて、少しだけイオのほうに顔を上げると、軽いリップ音がして額にキスが落ちてきた。
「おやすみ、メェちゃん」
やけに甘ったるい声で、イオがそれだけを私の耳元にささやく。
そのまま抱きしめる腕を解いたイオが、普通に私の隣に寝転がるから、なんだかとても拍子抜けした。
「お、やすみ……」
一応そう返したものの、何か違う……と思って、私はぱっと起き上がった。
突然起き上がった私を見て、イオが目を瞬かせる。
「どうしたの、メェちゃん」
呑気なイオの声に、私はひとりでモヤモヤとした。
どうしたの、って。どうしてイオは、人のベッドに潜り込んできておきながらこんなにもふつうなの──?
私はイオの言動ひとつひとつに、死ぬほどドキドキして、そわそわして。
それなのに、おでこにチューして「おやすみ」なんて。
それじゃ、全然物足りない!
最終的に至った自分の考えもどうかと思うけど。このままじゃ、イオのことが気になって余計に眠れる気がしない。
最初のコメントを投稿しよう!