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「し、ないの?」
恥を忍んで訊ねたら、イオが私を見上げて不思議そうに首を傾げてきた。
「しないって?」
「だから、その……キス、の、先……?」
うつむいて、膝の上のブランケットをぎゅっと握る。
先細りになっていく私の声を聞いているイオが、笑っている気配がした。
ほんとうは、聞き返さなくったって私の言いたいことがわかっていたんじゃないだろうか。
ムッとしながら横目で見ると、イオが私のほうを向いて肘をついて横向きになる。
「したいよ、すごく。ていうか、俺の脳内ではメェちゃん既に裸だけどね」
イオが爽やかに笑いながら、しれっとそんなことを言うから、顔が熱く上気した。
「は?変態!」
思わず後ろ手につかんだ枕をイオにぶつける。
イオはそれを片腕で難なくガードして跳ね返すと、肘をついて寝転んだまま私をじっと見上げてきた。
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