1.同期が居候することになりました。

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そんな松野くんが、休日に私服姿で隣に座っていたのだから、意識せずにいられるわけない。 1年半くらい前に学生時代から付き合っていた彼氏と別れてからは余計に、同期としての関係を超えて松野くんと付き合えたらなーという憧れを抱くようになっていた。 もちろん、私が憧れてたって松野くんがこっちをどう思っているかはわからない。 とりあえず今現在は松野くんに付き合っている人がいないらしいけど。気になる人がいるとか、いい感じの関係の人がいるとか。そこまでの詳細については知らない。 「絢子が結婚しちゃったら、こんなふうに飲みに行く機会も減っちゃうかなー」 絢子の結婚を祝った飲み会がお開きに近付いた頃、少し寂しくなってポツリとつぶやいたら、松野くんが私を見て笑いかけてくれた。 「坂部の旦那さんが許してくれるなら、たまに飲みに行きたいよな。けど、なんだかんだで、俺と在原(ありはら)とふたり飲みになっちゃうかもな」 「え、絢子いなくても付き合ってくれるの?松野くん」 「そりゃ、もちろん。在原と飲むの楽しいし」 松野くんが私と目を合わせてにっと笑うから、ほろ酔いの私はいつも以上に彼の笑顔にときめいた。 私とふたりだけでも飲みに行ってくれるなんて。これはもしかして、脈アリ? そんなふうに自分勝手に解釈して、松野くんや絢子と別れたあとは浮かれた気分で電車に乗ったのだ。
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