1.同期が居候することになりました。

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来週か再来週あたりにでも、ふたりで飲みに行かない?って誘ってみようかな。 今日は松野くんのおかげで楽しい夢が見られそうだし、明日からしばらくは気分良く仕事ができそうだ。 頭の中で松野くんを誘うシュミレーションをしながらニマニマと歩いているうちに、気付けば自宅マンションのそばまでやってきていた。 歩きながら、カバンの中に入れた家の鍵を手探りで掴み当てたとき、大きなスーツケースを持った男の人が困ったようにエントランスの前で右往左往しているのが見えた。 同じマンションの住人だろうか。 それにしては、なんだか動きが怪しいような気がする。 カバンの中でつかんだ家の鍵を離して、代わりにスマホを探り当てて引っ張り出す。 不審者だったら、すぐにでも通報できるように。 そう思って警戒しながら静かに近付いていく。 男と2メートルくらいのところまで距離が詰まったとき、向こうが私に気が付いた。 私のことを見た男の顔が、一瞬気まずそうに歪む。 私は、いつでも通報できるようにと顔のそばでスマホを構えていた手を下げると、首を傾げた。 目の前に立つ彼は、不審者でもなんでもなく、ちょっとした顔見知りだったからだ。
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