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◇
「えーっと。つまり話を纏めると、仲林くんは総務の永田さんと付き合っていて、2年くらい前からこのマンションの彼女の部屋で同棲してた。でも名目上は彼女が寮として住んでる部屋だから、もちろん会社にはこっそりと」
「うん」
私の話に頷きながら、仲林くんが淹れてあげた市販のアイスミルクティーを啜る。
「だけど今日の夕方に彼女から突然、『他に好きな人がいるから別れたい』と荷物ごと追い出された。行くとこがなく彷徨ってたら、偶然私が通りかかって今に至る、と」
「そう。ねぇ、在原さん。ポテチ開けていい?」
いきなりひとの家に来て、仮にもうちに泊めてもらおうという立場なのに(まだ、許可はしてない!)、貴重な私のおやつに当たり前のように手を伸ばそうとする仲林くんに一瞬殺意が湧いた。
「あんたにやるおやつはない!」
「とりあえず今日の宿が決まったと思ったらほっとして腹減っちゃって」
「まだ泊めるとは決めてない」
「え、そうなの?」
驚いたように目を見開く仲林くんからポテチの袋を取り上げる。
ついでに出したミルクティーも下げてやろうかと思ったけど、そこはなんとか我慢した。
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