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伯母と共同名義の事務所で、契約書類を確認した後、祐樹は同封してもらった役者のプロフィールに手を伸ばし、見るともなしにページを繰った。
一瞬、しなりながら折り重なる紙の間に、覚えのある顔を見たような気がして、急いでページを遡る。
見間違いを確認して、不安を拭うつもりだったのに、写真を目にした途端、心臓の音が耳の中で大きく脈打った。
「どうして…ここに」
思わず呟いた言葉に、伯母が不思議そうに後ろから覗き込み、知り合いかと聞いた。
「大学時代の友人なんだ。俳優になっていたんて知らなくて、驚いたよ」
「もしかして、勘違いで告白しちゃった相手かしら?」
鋭い伯母の問いかけにドキリとしたが、今はそうだと笑って返せる余裕がある。
「大当たり。まさか一緒に仕事をする日が来るなんて思わなかった」
「会うのが怖い?」
「う~ん、ちょっとね。でも、アメリカの競争社会で培った経験と実績を、真宙に見てもらいとも思う」
その意気だと親指を立てる伯母に、同じジェスチャーで応えながら、祐樹は真宙との再会に前向きになれたことを、感慨深く感じていた。
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