2話

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2話

『ああ、ダメダメ。手で擦っちゃ。やさしくなじませるように頰からおでこって顔全体になじませて』  はい。師匠。  次の日、私は壁越し耳を当ててメモを取るようになっていました。 『俺的には正直コットンでやってほしいけど……まあ、いいや。え、ああ、コットン使ったほうが浸透力があるんだよ。使う量も手より節約できるし』  なるほど……。 『あ、でもねえちゃん。乾燥肌っけ? ならコットンだと肌を傷つけるかも。やっぱ今のなし』  私は大丈夫ですよ。師匠。  ーー1週間後ーー 「……18……19……20! ふう-!」  はぁ、はぁ、息切れやば……しんど!久しぶりの上体起こし、しんど! 「ふぅー、よし、次はスクワット20回……1……2……」 ーー1ヶ月後ーー    おお……。すごい、少し凹んだ。  洗面台の鏡にお腹を移すと前まで狸腹だったお腹が少し凹み、横腹に筋が通っているようにも見えなくもない!  師匠のアドバイス通り食生活を改善し、上体起こし、スクワットの他にお昼の番組でやっていたプランクなるトレーニングを毎日40秒やっていた甲斐があったてもんよ。 「それにニキビもなくなったし、じゃっかん二重顎だったのも心なしか痩せてないか〜これ、うふふふ、えへへへへ」  ーー3ヶ月後ーー 『へえー、隈消えたんだ。よかったじゃん』  へへ、師匠。自分は昼夜逆転をやめて生活リズムを整えて肌艶よしなのはもちろん。お昼の番組の痩せるトレーニング紹介によって腰のくびれもお腹の凹みもええちょーしですわ。 『あ、ごめん。もう出かけるから切るね』  ……そう、肌の調子がいいんだ。  ドレッサーの机上をみる。  また酔った勢い買ってきたのだろう。知らない化粧品がたくさんあった。  もう一度、メイク……やってみようかな。  本棚に置いてあるファッション雑誌を読み漁り、自分に合いそうなメイクを探してドレッサーの椅子に腰掛けた。    
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